
2026.09.07
マンガ・アニメ活用
サイレンを鳴らしながら現場へ急行する消防車。
炎に向けてホースから噴出する大量の水。
懸命に消火活動に取り組む消防隊員。
機械、水、人。この3つが、消防の三要素と言われる、消火活動に欠かせないものだそうです。
ひとたび火災が発生すれば、消防の三要素をもってしても、消火するのは、すごく大変。
だから、火災を発生させない、予防する。
そのための広報活動として、人気イラストレーターのイラストを活用し、「情報を取りに来たくなる広報」に力を入れている新潟市消防局予防課の担当の方にお話を伺いました。
<お話を聞いた方>
新潟市消防局予防課 小林 友晴さま
堺 麻美奈さま
消防局では、消火活動を主な任務とする消防隊、交通事故や水難事故等の現場の最前線で人命救助活動を行う救助隊、救急現場で活動する救急隊、119番通報を受け指令を出す指令管制センターが、いわゆる「現場」の活動として、24時間勤務の3交代制で勤務しています。24時間勤務なので、午前8時30分から翌日の午前8時40分までが勤務時間。勤務時間中に仮眠時間はありますが、その間に災害出動要請や救急出動要請があれば、もちろん出動します。
現場の他にも、消防局には警防課、救急課など7つの課があり、現場活動を行わない、事務を主に行う職員もいます。ただ、その職員も事務専門というわけではなく、現場を担当するなかで、人事異動により事務担当に。配属先は、本人の希望と人事の関係で決まっています。
消防局というと、どうしても現場の活動に注目が集まりがちですが、消防の仕事は、「何も起きない(起こさせない)毎日を守る」ことも大切な使命です。そのための活動の1つが、広報。専任の職員ではなく、現場の活動を知る職員が担当しています。現在広報活動を担当している私たちも、24時間勤務の現場を経験しているんですよ。
新潟市消防局では、あらゆる世代に「消防とは?」を知ってもらうため、若い世代にはSNSを中心として、年配世代にはチラシの対面配布や地域の回覧版を活用して、というように世代ごとに、より伝わる方法を取り入れています。
SNSの投稿について、予防課では、電気製品の使用方法や枯草火災防止の広報など火災予防をメインとして行っています。予防課以外では、救助隊の日常の訓練や各種取り組みの様子を投稿しており、救助隊の訓練の様子など現場のカッコ良さをより多くの方へ伝えるため、流行の曲を使った動画にするなど工夫していて、おかげさまで好評をいただいています。ただ、火災の危険性を訴えかけるには情報をきちんと伝える必要があるので、砕けすぎず、 でも硬くなりすぎず、興味を持ってもらうことの塩梅が難しいんです。 そういう中で、火災予防を伝えるための入り口として活用を始めたのが、プロのイラストレーターによるイラストです。
これまでの消防の広報は、どちらかといえば、自分達が作成したものを「発信して届ける」ことに力を入れていました。そして内容も、標語を入れて、伝えたいことを文字にして、情報を目いっぱい詰めていました。パッと見て消防局だと分かるけれど、どうしても堅苦しくなってしまっていたんです。
そこで、プロのイラストレーターにイラストを描いてもらい、「市民の方が情報を取りに来たくなる」新たな広報を目指すことにしました。前任者が「絵師さん」と言われる界隈に詳しく、以前からイラストレーターの活用に興味を持っていたこと、新潟市が「マンガ・アニメのまち」であることから、新潟出身のイラストレーターに依頼するとうまく広報活動できるのではと考えました。
これまでの広報の固定概念を崩すのはなかなか難しく、イラスト活用の企画が実現するまでには少し時間がかかりました。しかし、消防局でも段々と柔軟な発想が受け入れられるようになり、令和6年度に荻pote(おぎぽて)先生による「火気必消」が、令和7年度に前田ミック先生による「MYHERO」が誕生しました。
荻pote先生は、他の作品でも雫など水を感じるものが入っていてとても綺麗なので、依頼する理由の1つになりました。もちろん、イラストにも消防の三要素の水の表現を入れていただき、消防らしさを出しつつも、キャッチーな女の子のキャラクターを依頼しました。色は、消防車の赤のイメージです。
前田ミック先生には、消防のカッコ良さを描いてほしいと依頼しました。救助隊は5人1チームとなって活動しているので、救助服を着ているメインキャラクターの背後には、同じチームの4人がいます。前田ミック先生の他の作品に近未来風のものがあり、そのイメージで消防の3要素を入れていただきました。
イラスト制作にあたっては、こちらからお伝えする条件は必要最低限にして、先生方にお任せしました。イラストについて素人の私たちが口を出すより、プロにお任せしたほうが良いイラストになるだろう、と。おかげさまで、これまでの消防という概念を覆してもらえるようなイラストになりました。

さらなる取り組みの拡大を目指し、今年度は全国的に活躍されている藤ちょこ先生に制作を依頼しました。
最初にお伝えしたのは、女性が活躍するようなイラストを、と。藤ちょこ先生の作品は、和装が印象的です。令和7年度が「近未来と消防」のイメージだったので、藤ちょこ先生とお話をしているなかで、「江戸時代の街並み、和テイストな感じで、キャラクターの後ろにいる鬼を火と見立てて、鬼(火)に対峙するような形のイラスト 」を提案していただきました。キャラクターは昔ながらの纏(まとい)を持っていたり、現代風にした火消しの半纏(はんてん)を着ていたりするんですよ。
色は、藤ちょこ先生の他の作品に素敵な青色の使い方があったので、前の2作と対比したときに分かりやすいよう、青色が目に飛び込んでくるようなイラストにしていただきました。
イラストを活用したオリジナルグッズは、こちら(下の画像参照)。イラストの魅力を最大限活用したいですし、伝えたいことはもちろん入れつつも、情報を盛り込みすぎないようにしています。おかげさまでオリジナルグッズが好評で、「可愛い」「かっこいい」といった声を多くいただいています。
オリジナルグッズの配布は、基本的に消防局のイベントがメイン。イベントで行うスタンプラリーの景品配布用としてガチャガチャの機械も用意しましたが、大行列になり、オリジナルグッズが当たると盛り上がります。イラストが好きな方や作家さんのファンの方なども消防局のイベントに来場されたり、SNSで反響があったりするようです。やっぱり、喜ばれるものだと市民の方が取りに来てくれますよね。

啓発物品はあくまで、情報を知るきっかけ。価値を感じていただけるように、そして目にして手に取っていただけるように、情報を伝える手段として、遊び心も加えています。お伝えしたい詳しい情報については、消防局のインスタグラムやホームページへ誘導しています。インスタグラムも3年ほど前から活用しているので、ぜひご覧ください。
藤ちょこ先生のイラストの活用については、ポスターとバナーは作成が決定していて、オリジナルグッズは現在準備中。イラストの世界観を活かせるような、皆さんに喜ばれるものにしたいと思っています。今後もバナーの作成を続けて、イラストをずらっと並べてご覧いただけるようになると、いいですよね。きっと、目を惹く、写真を撮りたくなる広報になります。これからもイラストを活用することで、魅力的な広報となるよう目指していきます。
意外に思われますが、夏場は乾燥するため、火災の発生が多い時期です。バーベキューや花火といった楽しいことも、火の燃え移りや火の消し忘れがあると、火災の原因となり悲しい思い出に。また、高温となる車内にスマートフォンを置き忘れたことで火災となることもあります。火の取り扱い、火の後始末、高温となる物・場所には、十分に注意してください。
火災が起きてしまうと、火を消すのは大変です。火災も事故も、起きないのが一番です。消防局では、災害が起きた時の活動とともに、「何も起きない(起こさせない)毎日を守る」ための広報活動にも力を入れています。防げる火災、防げる事故があります。ぜひ、火災予防に関する情報を受け取りに来てください。火災や事故を一緒に減らしていきましょう。
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