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2011年10月20日(木)「坂口安吾生誕祭105」にて、"ノイタミナ"アニメ「UN-GO」の脚本を手掛けた會川昇(あいかわしょう)さんのスペシャルトーク&アニメ「UN-GO」初回放送上映会が開催されました。


アニメ「UN-GO」の原案となった「明治開化 安吾捕物帖」の作者"坂口安吾"は新潟市の出身。新潟市では毎年10月20日、坂口安吾の生誕祭が開催されています。今回の生誕祭は3部構成となっており、安吾ゆかりの施設めぐりや朗読会などの様々なイベントが行われました。

その中でも特に注目なのが、第2部の「UN-GO」脚本・會川昇さんのスペシャルトーク&アニメ「UN-GO」初回放送上映会。「明治開化 安吾捕物帖」を大胆に翻案したオリジナルストーリーはいかにして生まれたのか、ここでしか聞けないエピソードが満載となったトークショーの模様をお届けします!


さらに今回は特別に、會川さんにスペシャルインタビューにもお答えいただきました。そちらもお見逃しなく!



■坂口安吾生誕祭 會川昇さんスペシャルトーク レポート

■會川昇さんスペシャルインタビュー レポート


■ 會川昇さん スペシャルトーク

坂口安吾生誕祭の第2部にて開催された「UN-GO」脚本・會川昇さんのスペシャルトーク。「UN-GO」がいかにして生まれたのか、そして原案となった「明治開化 安吾捕物帖」を書いた坂口安吾への思いなどを語ってくださいました。


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▲超満員のトークショー会場シネウインド

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▲「UN-GO」脚本 會川昇さん

キーワードは『探偵物』『バディ物』『社会性』

水島監督に「ノイタミナで何かをやりましょう」というお話がプロデューサーからあった際に、監督には『探偵物』『バディ物』『社会性』などのいくつかのキーワードが投げかけられたそうです。そこで以前から「鋼の錬金術師」などでタッグを組んだこともある會川さんが呼ばれ、企画がスタートしたとのこと。

原案として坂口安吾の「明治開化 安吾捕物帖」を選ばれたきっかけとして會川さんは、「坂口安吾さんは推理小説のゲーム性にこだわった方。また、昭和48年に放送され、私自身幼いときに見た「快刀乱麻」という「安吾捕物帖」原作のドラマに対しての強い思い入れがありました。そういった中でノイタミナの企画を練っていく時に、「安吾捕物帖」をベースにアニメーションを作ることができるのではないか、と考えました」とおっしゃっていました。

「捕物帖」から逸脱したスタイル

「『明治開化 安吾捕物帖』は、一般的な「捕物帖」からは逸脱した非常にすぐれたスタイルを持っている」と會川さんは語ります。そのスタイルというのが、結城新十郎と勝海舟の“二重推理”。

「安吾捕物帖」は、隠居中の勝海舟が事件現場には足を運ばずして話を聞いただけで犯人を名指しする、しかしその推理は間違っていて、洋行帰りの結城新十郎という若者が真犯人を言い当てる…という構図になっています。これを現代的に解釈し「UN-GO」では、勝海舟に当たる海勝麟六というキャラクターが実は真実を知った上で社会的混乱を防ぐために世間には適当な推理を流布し、新十郎は人知れず隠蔽された真実を明かす…というスタイルになったそうです。

「UN-GO」で描かれている近未来の日本

「UN-GO」の舞台となっているのは、終戦を迎え戦争の傷跡が未だ残っている近未来の東京。

その舞台設定について會川さんは、「今回の「UN-GO」では、作中で明示はしていませんが、今から大体20年弱が経過した東京を舞台にしています。そしてその東京では、もう一度“戦争”があったという設定になっています。その“戦争”というのは、決して大規模な戦争ではありません。日本が国連との協力関係の中であるPKOに参加したことにより、それに反発した勢力や反政府組織などが国内でテロを起こしてしまう。その結果テログループとの間で内戦状態になってしまい、その傷跡が未だに癒えていない東京、というのが「UN-GO」の舞台です。」と、舞台の裏側にある細かな設定を明かしてくれました。

坂口安吾への思い

最後に會川さんは、「今回の作品を作るに当たって、改めて坂口安吾さんの色んな本を読ませて頂き、『これほどまでに現代に通じる言葉を残されていたのか』と感動しました。なんとかその思いがアニメの中に少しでも残っていれば、と思います。」とおっしゃっていました。


■ 會川昇さん スペシャルインタビュー

トークショーでは「UN-GO」ができるまでの経緯や坂口安吾への思いを語ってくださった會川さん。終了後、特別にインタビューにお答え頂きました!キャラクターの誕生秘話や「UN-GO」をより深く楽しむ秘訣などが満載のインタビューとなりました。


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──キャラクターについてお伺いします。原案「明治開化 安吾捕物帖」を踏まえつつも大胆なアレンジの加わったキャラクター達ですが、どのようにして誕生したのでしょうか。


會川昇さん

【結城新十郎について】

結城新十郎は、できるだけオリジナルに合わせた「探偵然とした探偵」です。

また、原案の江戸の空気が残っている明治の世界において、洋服を着てスッと立っている彼はまるで異世界から来たような、今自分の居る世界を少し斜めから見ているような乾いた感じのキャラクターだという印象を持っていたので、そういったイメージはできるだけ残したいと思っていました。


【海勝麟六・虎山泉について】

結城新十郎以外のキャラクターに関してはやはり、原案とは配置は変えざるを得ないと思っていました。

原案の“勝海舟”に当たるキャラクターを、「現代だったらどういうポジションの人だろう」という感じで、勝海舟の位置に当たるキャラクターを考えなくてはいけない訳ですね。明治における勝海舟みたいな人というと、フィクションだとよく「鎌倉の老人」といったような“政界の大物”みたいな設定がありますが、それも今となってはリアリティのある設定ではないですよね。最初によくパロディで「小泉純一郎さんでいいんじゃない?」というようなことも言っていました(笑)。いわゆる「カリスマ首相」が今は引退して、あちこちに首を突っ込んでる、みたいなキャラクターだと面白いんじゃない?というような話もありました。

そこで出てきたのが、「ネットの支配者」という設定です。やはり今一番力を持っているのはネット関係の人ですし、ああいった人たちが実は世界を全部支配している、というような理屈もあるのではないか…という案を詰めていって、メディア王の「海勝麟六」というキャラクターができました。

それに伴って、原案で勝海舟の元に出入りしている泉山虎之介という人物は検察か刑事にしなければならないということで、検事の虎山というキャラクターもできました。


【因果について】

「因果」というキャラクターに関しては、まず「因果」という名前に僕はすごくひっかかるところがありました。原案では、明治に実在した「松廼家(まつのや)露八」という太鼓持ちをモデルにした「花廼屋(はなのや)因果」という人物です。元旗本だったのが家を捨てて太鼓持ちになってしまった人なんです。そのイメージが残っているので、昔のドラマ「新十郎捕物帖・快刀乱麻」ではコメディアンでもある植木等さんが演じていました。ですが「UN-GO」では、時代物だとかそういうイメージとは関係なく、ある種のミステリアスなキャラクターとしていけると考えました。自分で「因果」と名乗るからには、きっと何か理由があるんだろう、と。

その中で、「バディ物(※対照的なキャラクター二人組が難題に立ち向かうといった展開をする話)」というお題を頂いていたので、最初は探偵と謎の美青年のやや年の近い男の子二人でいいんじゃないかという方向で話をしていました。その中でプロデューサーから「やっぱりアニメなんだから、実は女の姿にビヨーン!と変身するみたいなのが一つはないと!」と言われまして、「お前が事件物やれって言ったのに今更地味とか言うなよ!(笑)」とか思いながらも、そういう要素を入れるんだったら尚のこと少年のほうがいいだろうということで、今の「因果」というキャラクターを整えていきました。


──キャラクターのデザインを担当されたpakoさん・高河ゆんさんに対して、リクエストなどはありましたか?


會川昇さん

pakoさん・高河さんはそれぞれ水島監督とのお付き合いがあって、しかもpakoさんと高河さん同士もお知り合い同士ということで、キャラクターデザインがそのお二人に決まった時点でオーダーに関しては監督にお任せしています。今回pakoさんが本格的にアニメのキャラクターデザインに挑戦ということで、高河さんにはそのサポートをして頂くという贅沢な起用の仕方をしています。高河さんご自身が「pakoさんを応援したい」ということでバックに入ってくださったんです。

実際に原案のイラストを見ないと、どのキャラをどなたが担当されたかおそらく皆さんお分かりにならないと思います。それぐらい高河さんはpakoさんの絵にも意識しながらデザインをやってくださっていますので、僕の方からオーダーを出す必要は全然なかったですね。


──では、演じる声優さんに対してはリクエストなどはありましたか?


會川昇さん

(因果役の)豊崎さんに関しては、今回初めてのレギュラーでの少年役です。

もともと「鋼の錬金術師(監督:水島さん、脚本:會川さん)」でアルフォンスという少年の役を、当時少年役はほとんどやったことがなかった釘宮理恵さんにやっていただいたんです。これは以前僕が脚本を担当した「十二国記」で釘宮さんが少年役を演じていたのですが、それがとても魅力的だったのがきっかけです。そういった新しい魅力の発見ができるという自負もあったので、因果役にはできれば少年役をあまりやったことがない女性の方を探していました。少女役の方が上手だと思われている人に少年役をやってもらうことによって「縁起を担ぐ」という意味もありました。その中で「豊崎さんにチャレンジさせたら面白いんじゃないだろうか?」というひねりもありまして、豊崎さんにお願いしたという次第です。


(結城新十郎役の)勝地さんに関しては、すでに「ガンダム00」で声優としての起用がありましたので。勝地さんは俳優の小栗旬さんと仲がいいんですよね。小栗さんがアニメで初めて声優をやったのが、僕が脚本を担当した「劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」だったということもありまして、その小栗さんの紹介で勝地さんもアニメのお仕事に強く興味をもってくださった、というつながりもあるわけです。小栗さんが「アニメの仕事面白いよ」って吹き込んでくれたおかげで(笑)。そういう経緯もあったので、勝地さんを起用したのは我々にとってはとても自然な流れでしたね。


──今後、世界観や登場人物の関係性がどのように描かれていくのかとても楽しみなのですが、「ココに注目して見てほしい!」というポイントはありますか?


會川昇さん

もともとノイタミナというのが11話しかないシリーズですので、あまりに長くて広い話にはしない、というのは最初から決めていたんです。多少間を飛ばしても見られるように一話完結にしました。ですがやっぱり最後の方になりますとやや連続した話も出てきますし、そして海勝麟六や梨江、因果であるとか、そういったキャラクターたちのある種の「思惑」というのも出てきます。それらを毎回事件ものとして整理していく、という面白さを見て頂きたいなと思っています。

あと、「安吾捕物帖」以外の坂口安吾作品からもちょこちょこと拝借して作品の中に取り入れさせて頂いてるんですが、その度合いがどんどん強くなっていくので、その辺も楽しみにしてください。

僕自身としては、もしかしたらこのキャラクターは「坂口安吾さんが書いたキャラクター」というより「坂口安吾さん自身」なのでは?と思うようなキャラクターも登場しますので、その辺も注目して頂ければと思っています。


──坂口安吾作品を読みながら観るとより楽しめる、ということですね。


會川昇さん

それはもう間違いないでしょうね。第一話の最後で「堕落論」から引用させて頂いてるのは(坂口安吾作品からの引用だと)一番分かりやすいフレーズを使いたかったからなんですけど、第二話以降はどんどん分かりにくくなっていくと思います。基本的に毎回最後の決め台詞で使われているのは坂口安吾さんの随筆等からだと思って頂いて間違いないですので、是非探してみてください。


──最後に、ファンの方へのメッセージをお願い致します。


會川昇さん

新潟出身の坂口安吾さんの原案を今回はかなり大胆に改変させて頂いていますので、そういう意味では安吾ファンの方の中には「何故ここまで変えなきゃならないんだ」というような思いの方もいらっしゃるとは思います。ですが、自分としては安吾さんが書こうとした本質をこれまでに無く忠実に描いているつもりですので、そのリスペクトの気持ちに関しては信じて頂ければと思います。



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トークショー当日、会場となったシネウインドは超満員、立ち見のお客さんもいらっしゃるほどでした。アニメの放送も始まり、ますます盛り上がっていくこと間違いなしです!

読書の秋、皆様も坂口安吾作品を片手に「UN-GO」を鑑賞してみてはいかがでしょうか?



『UN-GO』(アンゴ)

10月13日より毎週木曜24:45〜フジテレビ“ノイタミナ”ほかにて放送!

(初回は25時〜放送予定)

関西テレビ・東海テレビほか各局でも放送

新潟では新潟総合テレビ(NST)にて放送決定!

(※NSTでは10月19日より毎週水曜25:30〜放送)


『UN-GO episode:0 因果論』

11月19日(土)よりTOHOシネマズにて2週間限定レイトショー上映


■原案:坂口安吾「明治開化 安吾捕物帖」

■監督:水島精二(「鋼の錬金術師」「機動戦士ガンダム00」)

■ストーリー・脚本:會川昇

 (「鋼の錬金術師」「轟轟戦隊ボウケンジャー」)

■キャラクターデザイン:pako(「スカーレッドライダーゼクス」)

 高河ゆん(「機動戦士ガンダム00」「LOVELESS」)

■音楽:NARASAKI (「ザ・クイズショウ」)

■アニメーション制作:ボンズ

■制作:「UN-GO」製作委員会

■公式サイト:www.un-go.com

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(C)「UN-GO」製作委員会

にいがたマンガ大賞